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​Kanichi
Fujiwara

インターネットジャーニー 198日間

走行距離:25000km

期間:2000年5月~12月

バイク:HONDA SL230

 

旅ストーリー

 インターネットが日本に広がりを見せ始めたこの頃。自分のホームページを開設すると、ネットを通じて未知の人たちとの出会いや交流が広がっていった。それはこれまでにない感覚だった。インターネットに無限の可能性を感じた僕は新しい旅を模索。そこでリアル体験である旅に、バーチャルなインターネットの世界を融合させた、インターネットジャーニーを企画した。

 その内容はバイクで日本一周の旅をしながら旅の模様を、現地から毎日ホームページの旅日記を使って発信するというものだった。今では珍しいことではないが、19年前はスマホもWifiもブログもSNSもない時代。

 グレーの公衆電話にモバイルPCのジャックを差して、各地になるアクセスポイントにつないでデータを妻に送信。その後、妻がまとめてホームページにアップするという、いま考えるととてもアナログな方式だった。

 さらにホームページへのアクセス数によって使える旅資金が決まる(1アクセス=1円)ルールを加えた。それは僕からの一方通行的な発信ではなく、見ている人が旅に参加できるひとつの方法として考えた。見ている人がホームページにアクセスするかしないかによって、僕が使えるお金の金額が変わり、さらに旅の展開も変わって行く。本来は旅人に主導権があるはずなのに、自分でもどうなるかわからない。これまで体験したことのない、未知なる旅であった。

 また全国各地の安い温泉やグルメ、無料キャンプ場などの情報募集をしたところ「○○に来たら、ぜひ我が家に泊まってください」という嬉しいメールが100通以上も届いた。出発前から予想外の展開が次々に起こった。さらに協賛契約してくれたサーバーが出発の数日前に逃亡、連絡がつかなくなる事件まで発生した。

 旅を始めると考えていなかったことが続発した。まずホームページを見ている人がネットで僕の走るルートを予想、居場所を探し始めたのだ。信号待ちをしていると、突然横にバイクが現れて「ついに見つけました!」と声をかけられたり、「一緒にキャンプをしたくて来ました」と新しいテントを買って現れた人もいた。その後、この行為は『襲撃』と呼ばれるようになった。

 さらにネット上で「藤原さんの旅を応援しよう!」という有志が各地で現れ、東北、関東、関西、九州で、僕が現地に到着するタイミングに合わせてキャンプオフ会が開催された。関西の琵琶湖湖畔のキャンプには100人以上が集まり大盛況となった。

 旅の間、「毎日インターネットジャーニーを見るのが楽しみになってます!」という嬉しいメールが多く寄せられた。1日1000前後と爆発的にアクセスは伸びることはなかったが、熱心な応援者のおかげで順調に旅は進み、北は北海道の宗谷岬、東は納沙布岬、南は沖縄の波照間島、西は与那国島まで日本の端全てに立つことができた。

 最終日はネットで見ていた人が数人が静岡県に集まり、ゴールとなる神奈川の自宅まで一緒に走ってくれた。ゴールするとホームページの掲示板、チャットには祝福の言葉があふれた。出発前は知らない人ばかりだったが、ゴールした時はハンドルネームを見ただけでひとりひとりの顔が浮かんでくる。リアルな世界になった。この旅を通じてインターネットは人と人をつなぎ、さらに世界を広げてくれるツールであることを実感した。