第191目 12月22日(金) はれ

名水と自然破壊

 朝晩冷え込んだことが部屋の中でも分かった。こんな日に泊めてもらえたのは本当に運がいい。
 少し寝坊したので子供達はすでに学校へ行った後、コウモさんとふたりで静かに朝食を取った。
 道の分岐点までコウモさんが車で先導、信号待ちでバイクを止めウインド越しに握手をして別れる。コウモさんありがとう。

 北上して太田川の中流に出る。一応この辺りが名水100選に選ばれているのだが…。う〜ん、どこにでもありそうな雰囲気。
 それよりもトラックがひきりなしに通るので落ち着いて写真も撮れない。早々と退散する。

「一体どこなんだよ〜」
 これで道を聞いたのは二人目。この辺りのようだが狭い道が複雑に入り組んでいてなかなか次の名水「出合清水」が見つからない。それにしても…、こんな住宅地に本当に名水があるのか?不安になる。車一台も通れない狭い路地をトコトコと進む、まるで迷路に迷い込んだ気分。
 もう一度、人に聞いてみることにする。
 一応みんな知っているようだが、このおばさんは分かりやすく教えてくれた。よーし、もしかしたら今度は見つかるかもしれない。期待を胸にキョロキョロ辺りを見渡しながら、歩くような速度でSLを走らせる。
「やった!!あった、ここだ」
 探し回ること一時間、ようやく「出合清水」が見つかった。まるで宝物を見つけたように嬉しい。
 バイクもすれ違えないような狭い路地裏に、まるで残像のようにひっそりと存在していた。これまでもいくつか住宅地に名水があった、それはどこも現在の人々の生活に関わり生き続けているものばかりだったが、ここは寂しくなるくらい人の気配がない。
 湧き水の量も少なく、水の上にゴミがたくさん浮いている。
 そして驚いたことに小さな札に、この水は飲まないようにと書いてあるではないか。
 環境庁が名水100選を選定したのが1995年。まさか僅か15年間でここまで廃れるとは思わなかっただろう。それほど日本の水環境は急激に悪化しているということ。
 名水めぐりによって自然破壊の早さを実感することとなってしまった。自然を感じるはずが…、皮肉なものだ。

 このまま広島を離れようと思ったが、毎回来ている原爆ドームへ行っていないのがどうも気に掛かる。どうもあれを見ないと広島に来た気がしない、遠回りになるが原爆ドームを見学して先を急いだ。

 2時過ぎ遅い昼メシにする。今日はコウモさんの奥さんがつくってくれたお弁当があるのでいつもの10倍昼メシが待ち遠しかった。
  蓋を開けるとおにぎりに唐揚げや卵焼き、野菜などが入った凄い豪華版だった。うわぁっ、うまそう!!と思わず声を上げる。
 冷たくなっているのは残念だが、喜びを噛みしめるように食べた。う〜ん、幸せ。

 雲一つない快晴の下、右手に青い海を眺めながら気持ちよくバイクを走らせる。こんな青空を見たのは久しぶり。寒さは厳しいが気分がいい。
 尾道で日没を迎えると、急激に冷え込んできた。少しでも気温の高いところでテントを張りたいと思い、南の島の方へ向かう。

 内海大橋を渡り島へ。海岸線を走り適当な堤防の上にテントを張った。下がコンクリートなのでペグが打てないが無風なので大丈夫だろう。
 晩メシをつくっていると、突然ライトがオレを照らした。何かと驚いたら釣り人だった、ああビックリした。
 福山の人で毎週釣りに来ているという。しばらくして一匹釣り上げたが、ここは辺りが少ないな…、と言って別の場所へ移動して行った。
 テントから海まで僅か1.5m。テントの中に寝ているので寝相が悪くて海にドボンなんてことはないが、スリル満点の夜となった。
 パソコンを開いたが寒さで指が痛く、思うようにキーボードが打てない。こうなったら今日は早目に寝て、明日起きてから日記を書こう。
「うううっ、ああ〜さぶい、おやすみなさい」

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 走行距離/210km 総走行距離/23,730km

 宿泊地/海岸堤防<広島県沼隅郡内海町>
          (N 34°  21′56″ E 133°  20′31″)      
 食事   和朝食
    おにぎり 唐揚げ 卵焼き 野菜 
    サンマの蒲焼き缶 みそ汁 ごはん
 今日の入金額/1,045円 今日の出費/811円
 総残額現金1,703円 クオカード&ギフトカード818円