第186目 12月17日(日) 時々くもり

あの頃のまま


 8:40。定刻通りコーラルクイーン号は鹿児島新港に着岸した。
 またも雨がお出迎え、全く涙がチョチョ切れるよ。つくづく自分が雨男であることを実感する。
  錆び臭く薄暗いカーデッキを出て冷たい小雨が降りしきる陸地に降り立った。
「おおっ、思ったより寒くないぞ…」
 終日前鹿児島で雪が降ったと聞いていたのでかなりの寒さを覚悟していたが、予想に反して温かかった。うれしい誤算もたまにはあるものだ。今夜泊めてもらう予定の「隊長」に電話を入れて、今日の夕方頃に尋ねると告げておく。

 本日は久しぶりの名水めぐり。まずは栗野にある「丸池湧水」を目指す。
 鹿児島市内を抜けて国道10号を北上する。沖縄へ立つ日はあんなにきれいに桜島が見えていたのに、今日は裾野が少し見えるだけ。ブ厚い雲をセーターのように被り、まるで寒さに凍えているよう。何だか寒々しい。
 加治木から県道へスイッチ。栗野駅のすぐ裏手に大きな水瓶を抱える「丸池湧水」に到着したのは、昼少し前だった。
  湧水池は文句なしにきれいなのに、柵に囲われて人工的な雰囲気になっているのが少し残念。おまけに年末のイベントがここで行われるらしく、周囲を囲う柵には電飾が張り巡らせられ、正面の丘には2000〜2001と光る電光掲示板が掲げられていた。

 装飾の準備に追われている町内会の人達が昼の時報と共に集まり、ランチタイムとなった。写真を撮っていると「一緒に食べないか」と声をかけてくれた。始めは遠慮していたが、「田舎では遠慮しない方がいいんだぞ」と言われいただくことにした。
 現在は借金生活のため、今日の昼は抜きだと思っていたので実は凄くありがたかった。
 こんなにタイミング良く昼メシを食べられるなんて、本当に運がいい。

 お腹が一杯になったところで次の名水「出の山湧水」へ向かう。
 が、その前に「人吉ループ橋」が気になり、寄り道をすることに。ところが国道221号線へ入り、ひとつ目のトンネルを抜けた途端に霧雨が本降りになってしまった。この雨じゃ見れないか…、と思いながらも、せっかくここまで来たので行ってみることにする。
 案の定、雨はきつくなったがループ橋はハッキリと見ることができた。さすがに東洋一と言われるだけあって巨大だ。目が回りそうになりながらループ橋をゆっくりと回る。天気が良ければもっと気持いいのだろう。悔しいなあ。

 小林市内は40を越える湧水地があると言われている。その中で代表的な「出の山湧水」を見に行くことにする。湧水地のすぐ近くに水産試験場や水族館があり、普通の名水地とは少し趣が違っていた。ホタルが養殖されていて初夏には数万羽のホタルが舞うらしい、一度でいいからそんな光景を見てみたいな。

 雨がさらに強くなったので後は一気に隊長のいる国分へ向かう。僅か二週間振りの再会なのに、何だか長い間会っていなかったような気がする。恐らくそれは沖縄の旅で色々あったからだろう。つい昨日まで沖縄にいたことが、何だか遠い昔の出来事だったような気がしてくる。
 まずはゆっくりとお湯に浸かり、沖縄の垢を洗い流させてもらう。
 夜にはメールでやり取りしていた山本君も遊びにやって来て、総勢4人の賑やかな夕食会となった。献立は、ななななんと猪肉の焼肉!!。他、豪華な肉と野菜のオンパレード。さらに刺身まで…胃袋がパンクしそうなくらい食べまくったのは言うまでもないだろう。
 食後には隊長の15年前の旅の写真を見せてもらった。
 「どれもこれも若いなぁ」が第一印象。オレが写っている写真も数枚あり、手に取り懐かしく眺めた。やっていることはたいして変わらないが、15年も経つとさすがに老けたと思う。隊長が持っている昔の写真と同じポーズで写真を撮り見比べてみると、一目瞭然だった。
「ガハハハハ…結構老けたんだなぁ!!」
「ホントだねぇ、こうして並べてみるとよく分かるよ」

 北海道で一緒にキャンプした時の話や共通の仲間のことを思い出しながら、懐かしく語り合った。隊長の中では北海道はきっとあの頃のまま、15年前のままだろう。西元くんがいて、佐々木さんがいて、加藤隊員がいて…。オレも北海道を再訪するまでの10年間は心の中に不変の北海道があったからな…。

 その後はインターネットジャーニーの写真をパソコンで鑑賞。まずはパソコンで写真を見るということに時間の流れを感じる。一枚一枚、捲られる度に眠っていた隊長の旅心がかき立てられるらしく
「うあわぁ〜いいな、また旅がしたいな〜」
 何度も何度もため息をついた。
 奥さんの真由美さんも同感らしく「見てるとキャンプしたくなるね〜」と頷く。
「商売をしているからなかなか連休さえ取れないんだよ」
 と少し淋しそうに笑う。
「でも、いつか絶対に行くよ」
 隊長はまるで自分に言いきかせるように言った。思い続けていれば夢は必ず叶うもの、オレはいつでもそう信じている。いつかきっと隊長と真由美さんの旅の話を聞けることだろう。そんな時が来ることを楽しみに待とう。
 

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 走行距離/187km 総走行距離/22,610km

 宿泊地/友人岩重さん宅<鹿児島県国分市>          
 食事   
    おにぎり 豚汁他
    焼肉 刺身他
 今日の入金額/1,255円 今日の出費/0円
 総残額現金−1,107円 クオカード&ギフトカード1,718円