準備編

バイク

 正常に動くバイクなら何でもOK。特に思い入れのあるバイクがあればそのバイクで行くのが一番いいと思う。
 日本の道路は舗装化が進んでいるので、オンロードバイクでもまったく問題はない。もちろん、オフロードを走るのが目的の人はそれなりのバイクが必要になる。
 総合的に考えると低燃費で積載性が高く、整備がしやすいバイクが理想となる。そう考えると4ストロークの単気筒の250ccあたりが良さそうだが、これも好みの問題なので必ずしもベストとは言えない。
 ただひとつ言えるのは、疲れないバイクであること。ハンドルが遠く、状態がひどく前傾するバイクは腕が痛くなるのでできれば避けたい。せっかくの旅も疲労困憊で台無しになってしまうからだ。自分の体に合ったバイクを選ぶことも重要だ。
 最近のバイクは高性能なので整備さえしっかりしていれば故障の心配はない。ただ、事故や転倒で壊れた場合はその場で交換パーツが必要になることがあるので、普及タイプのバイクの方が安心できるかもしれない。

お金

 現金以外にもクレジットカードなどを持っていたほうがトラブルの時には安心だ。
 ボクの場合、旅先でお金を紛失した経験が何度かあったので(笑)郵便局のキャッシュカードを持ち、現金が少なくなると郵便局で引き出すようにしていた。郵便局は全国各地、小さな町にもあり土日や祝日もCDが使用できるのでとても利用価値が高い。

地図

 B5サイズのブックタイプで25万分の1の縮尺の地図が一番見やすくて持ち運びにも便利だろう。
 地図選びのポイントは当たり前だが、正確であること。ボクの場合は自分で良く知っている地域を選び、何冊か見比べてより詳しく、より見やすく作られているものを選んでいる。
 2回目の日本一周で使用したのはグランプリシリーズの全日本地区(昭文社)で、色使いと文字の大きさが適切で、とても正確にできていた。さらに全国の有料道路やフェリー料金まで掲載されている優れモノである。また同じく昭文社のツーリングマップルもお薦め。とにかくこの地図はライダーのための情報が充実している。道路や観光、温泉の情報はもちろん、キャンプ場やユースホステル、ガソリンスタンドの場所までが一目で分かるように紹介されている、理想的な地図なのだ。ただ、日本一周となると7冊(全地域分)必要になるけど……。
 また、それにプラスして日本列島全体が一目で分かる地図があればルート全体が把握しやすくて便利だろう。

工具

 基本的には車載工具+パンク修理工具で十分だ。ただ車載工具は造りが粗悪(ドライバーを潰した経験がある)なのでグレードの高い、同サイズのレンチやドライバーを揃えた方が安心できる。それ以外の特殊な工具は扱える技術と知識がある人だけが持って行けば良い。
 それから、始めから「私はメカ音痴だから」と日本一周を諦めないで欲しい。なにも特別なメカの知識は必要ない、それよりも「バイクの調子がおかしいな」と感じたら手におえなくなる前に、早めにバイク屋に駆け込むことの方が大切なのだ。
 それでも最低限、チェーン張り、プラグ交換、パンク修理ぐらいは簡単なので自分でできるようにしておこう。基本的には自分のことは自分で責任を持つという心構えが無くては旅をする資格はない。

スペアパーツ

 あえて持参するとしたら、転倒で折れやすいブレーキ&クラッチレバーとバルブ類(ヘッドライト、ウインカーなど)だろう。もしも、を考えていたらきりがなく、極端な話スペアバイクを一台積んで走ることになってしまう。持参するのは走りに直接影響する部品で、その場で簡単に交換できるものに限定して、それ以外は現地調達と割り切ろう。
 その他にパーツではないが針金とガムテープ、瞬間接着剤があるとレバー折れやワイヤー切れなど、いろんなトラブルに役立つので持参しよう。

ウエア

 ボクは日本一周の間に−2℃から+37℃まで経験した。そう考えると膨大な量のウエアが必要な気がするが、実際は「重ね着」を基本にすればかなり押さえることができる。
 例えば上着に中綿の入った冬用のジャケットを1枚持つよりも、アウターに風を遮る素材(ゴアテックスなど)を着て、インナーに保温性の高い素材(フリースなど)を着た方が、微妙な温度の変化に対応でき合理的。
 また、いくら暑くてもも半袖、ショートパンツというのはいただけない。地肌で直接風を受けると疲労が激しく、さらに太陽光線を長時間浴びて火傷をする恐れがあるからだ。暑くても必ず長袖、長ズボンを着用するようにしよう。
 基本はジャケット、フリース、トレーナー、Tシャツ(長袖)、パンツ、下着(上下)、靴下、レインウエア(上下)だろうか。下着と靴下の数は「悪臭」に対する忍耐力に個人差(?)があるので何ともいえないが、3〜5枚が妥当な線か……
 ハンドルグリップの滑りをなくし、マメをつくらないためにはグローブは必要アイテム。転倒を考えると革製が絶対に良い。シューズは足首を痛めないため、くるぶしまで隠れるタイプが安心できる。林道を走る場合はもちろんオフロードブーツを履いていた方が安心だが、それ以外に街を歩いたり、バイクを降りて山道を歩くことを考えるとちょっとヘビー過ぎる気もする。それならトレッキングシューズ程度にしておいて林道を走るときだけプラスチックのニーカップを着用する、というのも手かもしれない。

 レインウエアは防水性を最優先に考え、ビニール製でもかまわないと思う。バイクに乗っている時間が圧倒的に長いので、無理をして透湿性のある高価なウエアを買う必要はない。ただし、縫い目のシームだけはしっかりしているものを選びたい、いくら素材の防水性が高くても縫い目から雨がしみ込む可能性があるからだ。また、レインウエアも雨の時だけではなく、ウインドブレーカーとしても使えるので有効に着回したい。
 雨具で一番頭を悩ませるのがブーツカバーだろう。ソックスタイプや靴の外側からカバーするタイプなど色々試してみたがどれもいまいち。結局、防水を最優先に考えると長靴(マリンブーツ)に履き替えるのが一番という結果になった。もしそれ以上のモノがあるならぜひ教えて欲しい。

キャンプ用品

 テントを持っているだけで旅の範囲はぐっと広がる。宿の心配はなくなるし、気に入った場所にテントを張ればそこがもう我が家なのだから、より自由に旅が楽しめるはずだ。
 テントはディスカウントストアで売っている安物でもかまわないが、できれば地面を選ばないドーム型でフルフライシートのものを選びたい。フライが短いとテント地に雨が直接当たり水がしみ込みやすいからだ。昔このタイプを買ってテント内を水浸しにした経験があるので、これは要チェック事項。
 シュラフは経験からマミー型がベストだと考えている。封筒型は大きさの割に保温性が低いのでバイクの旅には向いていない。中綿はダウンだと保温性も高くコンパクトにパッキングできるが、湿度に弱いのと洗濯が面倒なのが難点。化繊の場合その逆になる。どちらも一長一短があるので、そのシュラフの素材の特徴を十分に理解してから選ぼう。ボクが最近気に入ってるマットはエア注入式の「サーマレストマット」というヤツ。これはエアを抜くと普通のウレタンマットの3分の1くらいにコンパクトになる。値段が高いのが難点だけど……ウレタンより丈夫でクッションも良いので断然お薦めする。

 キャンプで自炊をするならストーブやコッヘルもあった方がいい。ストーブにはガソリン式とガスカートリッジ式があるが、お薦めはバイクの燃料が兼用できるガソリンタイプだ。点火操作や火力調節ではガスタイプに劣るモノの、気圧や気温の変化に強く、経済性と火力という点ではガソリンタイプが断然に有利なのだ。さらに分離式の方が収納はコンパクトになるし、給油も簡単で使いやすい。
 コッヘルは自分で食べる量と料理するものを考えてサイズを決め、コンパクトに収納できるものを選ぼう。素材はアルミ素材食器はアルツハイマー病の原因という噂もあるので、ステンレススチールか最近安くなっているチタンが良い。
 ボクはバイクの旅でランタンの必要性を感じたことがない。太陽と共に行動をしているので夜更かしはしないし、本を読むにもローソクの光で十分だからだ。時には余計な明かりをなくしローソクの明かりで夜を過ごすのもいいものだ。

カメラ

 カメラは精密機械なので取り扱いには十分注意を払おう。思い切って持って行かないというのもひとつの手だが、旅先の写真は思い出になるので、できれば持って行きたい。
 写真が趣味の人は別とするとコンパクトカメラが軽くて扱いやすいだろう。旅の写真はとにかく「おもしろい!」とか「きれいだ」と思った瞬間がシャッターチャンスなので、できる限り操作が簡単で素早くシャッターが切れるモノがいい。さらに最近ではデジカメを使っている人も増えている。
 持ち運びはウエアのポケットやウエストバックなど身に付けたバックに収納するようにして、カメラに与える衝撃をできる限り少なくしよう。さらに柔らかい布やタオルなどで包めばそれが緩衝材となりカメラのダメージを防ぐことができる、あとはひたすら感動の場面を求めてシャッターを切るだけだ。

その他

 プラスアルファで趣味のアイテムを持って行くのもおもしろい。
 釣りが好きな人は釣りセットを、音楽が好きな人はラジオやMDウォークマンを、読書の好きな人なら文庫本など、自分の好きなモノを持って行けば旅の楽しみは倍増するだろう。
 最近はノートパソコンを持って、旅の様子をリアルタイムにホームページなどでレポートしている人も多いようだ。 
 それこそバイクに積めるモノならギターでもサーフボードでも、キックボードでも持って行けるはず。こだわりのアイテムを載せて、縦横無尽に日本列島を駆け回ろう。

パッキング

 バイクに荷物を積む時の一番のポイントはバランス感覚。縛にバックをストレッチコード(先端にフックの付いたゴム紐)などで固定したら、後方から全体のバランスを見て、荷物が左右に傾いていないか確認しよう。もしズレていたらバイクと荷物の中心を合わせる。振り分けバックなら左右の重さを均等にすることも大切だ。
 時々、リヤキャリアに膨大な荷物を一括りに積んでいるライダーを見かけるが、重心が高いと安定が悪くなり、横風に弱くなるのであまり感心できない。さらに重量が一カ所に集中するためにバイクへの負担も大きくなるだろう。できれば荷物を2〜3種類のバックに分け、前後や両サイド、ザックなどに重量を分散させてパッキングするのがベストだ。
 また、荷物をバックではなくプラスチックのボックスに詰め込むという方法もある(2回目の日本一周ではボクも使用した)。ボックスの利点は雨に強く、荷物の整理がしやすく、またテーブルやイスにも使えるという便利性と多様性。ボクの場合はさらに側面に走ったルートをペンで書いてみたり(これが人と話すきかっけになった)、紐を通し洗濯物をぶら下げたり、いろんな用途に活用した。アイデア次第で色々な使い方ができるので、みんなにもお薦めしたい。ボックスは収納ケースやクーラーボックスでもかまわないが、バイク専用に造られた、ワンタッチでバイクに装着できロックもできる「クラウザーツーリングシステム(潟cgコ)」などもある。


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