最小排気量のバイクで、最小排気量のガソリンで走った!
1,584日間、地球15万キロ
オーストラリア一周 世界一周 アジア横断 北南アメリカ縦断 日本一周
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原チャリの魅力とは
原チャリ(50ccバイク)で旅していると「大きなバイクの方が楽なのに、なぜこんなに小さなバイクで使うんだ?」といった質問をよく受ける。10人いれば10通りの旅があるように、人はそれぞれの価値観で旅をしているもの。僕の場合「自分らしい旅」を突き詰めていったら、自然と原チャリの旅にたどり着いた、という感じだろうか。
改めて「原チャリの旅」の魅力は何かと考えてみると、そこにひとつの〈逆転の発想〉がある。
普通に考えると、小さな車体や小さなパワーは欠点となりそうだが、実はそこに原チャリの長所であり強みが隠されていたのだ。
まず、原チャリは車体が小さいので大型バイクのような威圧感がない。お陰で小さな子供達でも怖がらずに気軽に近づける、という利点がある。子供と仲良くなれればしめたもの。土地に溶け込むのにそう時間はかからないだろう。その大きさが味方になってくれるのだ。
さらに、スピードの遅い旅だからこそ出会える風景があると思うし、人々の暮らしをより身近に肌で感じることができると思う。原チャリの速度なら道を歩く人の表情が笑っているのか、泣いているのか、明るいか暗いか、ハッキリと分かるのである。そんな原チャリの旅なら、点と点を結ぶ移動の旅ではなく、走ってきた道のりがひとつの太い線になるような、中身の濃い旅ができると考えたのだ。
大型バイクなら峠道も砂漠地帯もパワーで越えられるが、原チャリではそうはいかない。自分で押さなければ進めないこともあるだろう。バイクにパワーがない部分を人間の力で補わなければ前に進めない。つまり人間と機械がひとつになり、力を合わせて困難を乗り越えていかなくてはならないのだ、そんなところに原チャリの旅の人間くささやおもしろさを感じるのである。
そんな人間くささが僕は好きだし、原チャリの旅の大きな魅力なのではないだろうか。1987年から足掛け13年に渡り、挑戦し続けてきた「原チャリ世界5大陸の旅」は合計4回の旅によって、1999年3月ついに達成しました。総日数1,584日、総走行距離150,000km、訪問国68ヶ国(バイクで走ったのは62ヶ国)に渡る旅は、振り返ると驚きと感動とハプニングの連続だった。
旅を終えて思うことは、たくさんの人々の支えなくしてこの旅の成功はあり得なかったということ。出会った人々や家族友人の協力、理解があったからこそ、僕は旅を続けられたのだと思う。
始めは果たして原チャリで本当にできるのか、不安は大きかった。だが、結果の見えない旅だからこそやる価値がある。結果の見えた旅にどんな魅力があるのだろう、先の読めない、リスクのある旅だからこそ、難関を乗り越えて、目的を達成したときに「感動」や「喜び」が生まれるのではないだろうか。
原チャリは僕の写し鏡のような存在だった。特別な才能もない、頭も良くない、金持ちでもない、そんな僕は社会の落ちこぼれ的な存在の僕と、小さくてパワーのない原チャリが重なって見えるのだ。それが僕が原チャリで旅を始めるきっかけであり、旅を続ける力となっていた。
たとえ小さなバイクでも、たとえ小さな人間でも、たとえ少しずつでも、夢に向かって進んでいけば、諦めなければ、夢はいつか必ず叶うもの。そう信じて僕は走り続けたのだと思う。
僕が原チャリで大きな旅に挑むことはバイクの限界への挑戦であると同時に、自分の可能性への挑戦でもあるのです。