北南アメリカの旅
出発前自宅近くで撮影。まだカブもきれい。
ヨーロッパから帰国後、寛一は世界一周の続きとして北中南米に向かったが、途中サンフランシスコから体調不良のために帰国した。
一応、世界一周が終わったら結婚しようと約束していたのだが、その世界一周が中断され、「どうせならもう結婚しちゃおうか!」ということになった。
結婚後、寛一は残してきた北中南米の旅に一緒に行こうと言いだした。
私は、ヨーロッパの旅から帰国後、バイクにはまったく乗っていなかったし、中南米の治安にも不安があった。
なにより、少しずつ安定してきていたそれまでの生活を崩すのにもためらいがあった。
けれどやっぱり旅には出たい。
結婚後、寛一は私を置いて、アジア横断の旅と日本一周をしており、いつもお留守番ばかりというのもつまんないしね。ヨーロッパの旅から5年半、「バイクの運転練習しとけよ!」と言われたにもかかわらず、「現地で練習しながら走るからいいよ!」なんて言って、全くバイクにも乗らないまま、私はまた無謀にも旅立ってしまった。
今回の旅は北米大陸の最北端(Inuvik)から南米大陸の最南端(Ushuaia)までを1年半かけて走るという目的があった。
その上寛一にとっては、足掛け13年にも渡る『50ccバイクでの五大陸制覇』にむけての最後の大陸『南米大陸』を走ることになり、かなりの意気込みがあったと思う。
私は寛一の気持ちが感じられるほど、旅がプレッシャーになっていった。
辛くなってくると、「ひとりで帰るよ!」とつい泣き言とわがまま…。
まぁ私という足手まといがいなければどんなに寛一も楽だろうという思いもあったし…。ヨーロッパの時はただただついて行くだけだったけれど、この北南米縦断の旅で私も少しずつ私らしい旅をしたいと思うようになってきていた。
だいたい根本的に男と女の旅のスタイルは違う気がする。
特にバイクで旅している男の人達は走ることに重点を置いて、まずは距離をかせぐことを考えがちだけど、女の人はあまり移動が続くと辛くなってくる。
まぁそれも人それぞれだろうけど、私はメキシコに入り、ノンビリペースになった途端、今までよりも旅を楽しめたし、ケンカも少なくなったから…。メキシコから最南端Ushuaiaまでの間、いくつかの国に日本人だけを泊まり客として受け入れている『日本人宿』というものがある。
どこも低料金で、キッチンが使えたり、洗濯場があったり、日本語の本があったりと貧乏旅行者には嬉しいところである。
私はこの『日本人宿』にすっかりはまってしまった。
そこには、それぞれの旅のスタイルを持った、年齢も職業も、旅の目的もさまざまな旅人がやってくる。
今まで自分の周りにはいなかった、さまざまな人達と夜な夜なお酒を飲んでいろんな話をして…、なんだか肩の力が抜けた気がした。それからというもの、私は「ちょっと遠くまでカブでお買い物!」と思うようにした。
なんせ私が必死こいて走っている道を、若い女の子のふたり乗りや、家族3人乗りで通り過ぎて行くのを見て、なんだか「大それた事していると思う方がおかしいんじゃないか…」と思うようになってきた。
だから、『私は北南米大陸縦断をしているんだ!』ではなくて、『ちょっと遠くまでお買い物』の積み重ねが、結果として北南米縦断となると考えたわけ。
日本人宿でたくさんの旅人と会えたこと、そしてそんな風に思えたことが、私をプレッシャーから解放してくれた。メキシコから以南、人との出会いが多い旅だった。
日本人宿で会った旅人はもとより、現地の人達とも交流が持て、思い出深い旅だった。
旅で思い出すのは、きれいな景色や風景はもちろんだけど、本当はこうやって出会った人との思い出が一番なんだよね。
今回私は出会った人達から、今までと違う価値観や生き方をたくさん教わった気がする。
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| CANADA Inuvik (最北端) | ECUADOR Equator (赤道) | ARGENTINA Ushuaia (最南端) |